計画と進捗

個人別の育成計画|1人ぶんの履歴を1行で追う

公開 2026-08-30 執筆 育成板 編集部

「この人、入社してから何を教えてきましたか」と聞かれて、すぐに答えられる職場は多くありません。OJT計画は3か月ごとに更新され、面談の記録は年度ごとにファイルが変わり、資格は別の表にある。1人ぶんをつなげて見る場所が無いからです。

個人別の育成計画は、その1人について、いつ何を身につけて、次に何を目指すのかを1枚にまとめたものです。この記事では、個人別の育成計画に持たせる項目と、更新のしかた、他の表との役割分担を整理します。

個人別育成カード(Excel・無料)1人ぶんの育成の履歴を、1行にまとめて持ち歩けるようにします。登録不要でダウンロードできます。
テンプレートを見る
この記事の内容(8項目)

個人別の育成計画は、履歴と予定を1枚に置く

短期の計画と違い、こちらは数年にわたって1人を追うための表です。細かい進捗は書かず、節目だけを残します。

持たせるもの書き方更新のきっかけ
できるようになった作業作業名と、単独可になった日判定に合格したとき
取得した資格資格名、取得日、期限合格を確認したとき
受けた主な教育研修名と受講日受講したとき
本人の希望やりたい作業、取りたい資格面談のとき
次に目指すこと今後1年で身につける項目期の初めと期末

1人1枚にする

全員ぶんを1つの表に詰めると、1人の履歴が横に長く伸びて読めません。1人1枚にして、必要なときにその人のものだけ開く形にします。

細かい進捗は書かない

週ごとの進み具合まで書くと、数年ぶんで膨大になります。「できるようになった」という節目だけを残すと、1枚に収まります。

本人と一緒に見る前提で作る

会社が管理するためだけの表にすると、更新されなくなります。面談のときに開いて、本人と一緒に次を決める形にすると、自然に最新に保たれます。

他の3つの表と、役割を分ける

育成に関する表はいくつもあります。役割を決めておかないと、同じことを何か所にも書くことになります。

見る単位期間細かさ
個人別育成カード1人数年節目だけ
OJT計画表1人3か月項目と期限
スキルマップ組織全体いまの状態作業ごとの段階
目標設定・進捗表1人半年から1年目標と進捗

スキルマップは今、育成カードは経緯

スキルマップは全員の現状を横並びで見る表で、履歴は残りません。いつ上がったのか、何を経てそこに来たのかは育成カードに残します。2つで役割が分かれます。作り方はスキルマップの作り方にまとめています。

OJT計画が終わったら、結果だけ転記する

3か月のOJT計画は、期間が終われば役目を終えます。達成した項目と日付だけを育成カードへ転記すると、履歴が積み上がります。

目標は期ごと、育成カードは通し

目標設定の表は期ごとに新しくなりますが、育成カードは同じ1枚を使い続けます。期をまたいで追えることが、この表の価値です。

スキルマップ(Excel・無料)業務ごとの習熟度を並べ、育成の優先順位を見えるようにします。登録不要でダウンロードできます。
テンプレートを見る

更新は、年2回と節目のときだけ

毎月更新しようとすると続きません。きっかけを決めておくと、必要なときだけ触れば済みます。

育成カードを更新するとき
定期年2回。面談に合わせて
合格作業の判定に通ったとき
取得資格を取ったとき
異動所属が変わったとき
定期の2回は面談と同じ日にする。別の予定にすると、どちらかが飛ぶ

面談の場で、一緒に更新する

面談の前に管理側が書き込んでおくのではなく、その場で本人と見ながら書き足すと、内容も正確になり、本人にも伝わります。

異動のときは、必ず引き継ぐ

所属が変わると、前の部署で積んだ履歴が見えなくなります。育成カードを異動先へ渡すと、受け入れる側が最初から教え直さずに済みます。

空欄が続いたら、育成が止まっている合図

1年間、何も書き足せなかったなら、その人の育成が止まっています。更新が無いこと自体が、気づきになります。

本人の希望を、必ず1行入れる

会社が決めた育成だけを並べると、本人にとっては指示の記録になります。本人がどうしたいかを1行入れると、話す材料になります。

聞くこと次にどう使うか
やってみたい作業次の育成項目の候補にする
取りたい資格取得支援の対象を検討する
いまの担当で続けたいか配置を考える材料にする
教える側に回りたいか指導者の候補にする

希望どおりにできなくても、聞いておく

すぐに叶えられなくても、希望が記録に残っていれば、機会が来たときに思い出せます。聞かないと、その機会も来ません。

会社の必要と重なるところを探す

本人の希望と、組織として足りていないところが重なれば、いちばん進みます。スキルマップの穴と、本人の希望を並べて見ると、重なりが見つかります。

回答を返す

希望を聞いておいて何も返さないと、次から出てきません。できない場合も、理由を返します。正式な申告の扱いは自己申告の記録で行います。

目標に落とすところまでやる

希望を聞いただけでは動きません。その期の目標に1つ入れると、実際に進みます。目標の立て方は目標設定と進捗管理で扱っています。

目標設定・進捗表(Excel・無料)期の初めに決めた目標と、途中の進み具合を並べます。登録不要でダウンロードできます。
テンプレートを見る

資格と教育の履歴も、この1枚から追えるようにする

資格は別の表で管理していても、その人が何を持っているかは、育成カードからも見えるようにしておくと使いやすくなります。

書くこと詳しい管理はどこか
資格名と取得日保有資格一覧表
更新が必要かどうかの印資格更新期限管理表
主な研修の受講日研修管理表
単独作業の許可単独作業許可記録表

期限の管理は、こちらでやらない

育成カードに期限を書いても、期限順に並べ替えられません。切らさないための見張りは、期限管理の表で行います。詳しくは資格管理の方法にまとめています。

面談で使う情報だけを載せる

すべての情報を集めると、1枚に収まりません。面談で話す材料になるものだけを選びます。詳細は元の表を見に行けば済みます。

取得の経緯も1行残す

会社の費用で取ったのか、本人が自費で取ったのかが分かると、次の支援を考えるときに使えます。費用の負担元を1行残しておきます。

個人情報として、扱いを決めておく

1人ぶんの情報が1枚に集まるので、誰が見られるかを先に決めておきます。

決めること目安
見られる人本人、直属の上司、育成の担当
保管場所施錠できる場所か、権限を絞ったフォルダ
本人への開示本人はいつでも見られるようにする
退職後の扱い社内の規程に従って保管または廃棄

評価の点数は載せない

評価の結果を育成カードに書き込むと、扱いが重くなり、本人と一緒に見られなくなります。育成の履歴と、評価の記録は分けます。

本人が見られる状態にする

自分の育成の記録を本人が見られないのは不自然です。面談のたびに開いて渡すだけで、開示の形になります。

健康や私的な事情は書かない

配慮が必要な事情は、別の管理が必要な情報です。育成カードには、業務に関することだけを書きます。

個人別の育成計画が使われないときの直し方

作ったが更新されない、という状態には共通の原因があります。

症状よくある原因直し方
1年以上更新されていない更新のきっかけが決まっていない面談の日に更新すると決める
OJT計画と同じ内容になる細かい進捗まで書いている節目だけに絞る
本人が見たことがない管理側の資料になっている面談で一緒に開く
異動で履歴が切れる異動先に渡していない異動の手続きに引き渡しを入れる
書くことが無い実際に育成が止まっている次の育成項目を決める

面談の日に更新する、と決めるだけでよい

更新のタイミングを独立させると、忘れられます。すでにある予定にくっつけると、確実に開かれます。

書くことが無いなら、それが問題

1年間、何も書き足せない人がいるなら、育成の対象から外れています。表の問題ではなく、育成のほうを直す合図として受け取ります。

全員ぶんを一度に作らない

全社員のカードを一気に作ろうとすると、着手できません。新しく入った人と、育成の対象にしている人から作ると始められます。1年で数人ぶんずつ増やしていけば、数年で全員そろいます。過去の履歴を無理にさかのぼる必要もありません。分かる範囲で書き、そこから先を積み上げるほうが早く回り始めます。

よくある質問

Q. 個人別育成カードとOJT計画表は、両方必要ですか?
期間と細かさが違うので分けることをおすすめします。OJT計画表は3か月程度の短期で、項目と期限を追うものです。個人別育成カードは数年にわたって1人の節目を残すもので、細かい進捗は書きません。3か月の計画が終わったら、達成した項目と日付だけを育成カードへ転記すると、履歴が積み上がります。
Q. スキルマップがあれば、個人別の育成計画は不要ですか?
スキルマップは全員の現状を横並びで見る表で、履歴が残りません。いつ上がったのか、何を経てそこに来たのかは分からないため、1人ぶんの経緯を追いたい場合は育成カードが必要になります。2つで役割が分かれます。
Q. 育成カードは、どのくらいの頻度で更新すればよいですか?
年2回の定期更新と、節目のときだけで足ります。定期は面談に合わせ、そのほかは作業の判定に合格したとき、資格を取ったとき、異動したときに更新します。定期更新を面談と別の予定にすると、どちらかが飛びます。
Q. 育成カードに、評価の結果も書いてよいですか?
分けることをおすすめします。評価の点数を書き込むと扱いが重くなり、本人と一緒に見られなくなります。育成カードは本人と一緒に開いて次を決めるための表として使い、評価の記録は別に持ってください。
Q. 本人に育成カードを見せるべきですか?
見せることをおすすめします。自分の育成の記録を本人が見られないのは不自然ですし、会社が管理するためだけの表にすると更新されなくなります。面談のときに開いて、その場で一緒に書き足す形にすると、内容も正確になり自然に最新に保たれます。
Q. 異動があったとき、育成カードはどう扱いますか?
異動先へ渡してください。渡さないと、前の部署で積んだ履歴が見えなくなり、受け入れる側が最初から教え直すことになります。異動の手続きの中に、育成カードの引き渡しを1項目入れておくと漏れません。
Q. 全社員ぶんのカードを作る必要がありますか?
一気に作ろうとすると着手できません。新しく入った人と、いま育成の対象にしている人から作り始めることをおすすめします。1年間何も書き足せない人がいる場合は、表の問題ではなく、その人の育成が止まっているという合図として受け取ってください。
Q. 育成カードは、どのくらいの分量にすべきですか?
1人1枚に収まる量にしてください。全員ぶんを1つの表に詰めると、1人の履歴が横に長く伸びて読めなくなります。また、週ごとの進み具合まで書くと数年ぶんで膨大になるため、できるようになった、資格を取った、といった節目だけを残してください。細かい進捗はOJT計画表のほうで追います。
個人別育成カード(Excel・無料)1人ぶんの育成の履歴を、1行にまとめて持ち歩けるようにします。登録不要でダウンロードできます。
テンプレートを見る

本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-08-30時点のものです。