計画と進捗

スキルマップの作り方|作業単位の項目例と4段階の評価基準(Excel付き)

公開 2026-08-30更新 2026-10-03 執筆 育成板 編集部
育成板 編集部法令の原文と省庁の資料で確認:2026年10月3日

スキルマップを作ってはみたものの、丸と三角を付けた表がそのまま1年放置されている。そういう話はよく聞きます。表そのものより、どこで線を引くかを決めていないことが原因であることが多くあります。

一般には、スキルマップとは、業務ごとに必要な技能を並べ、社員一人ひとりの習熟度を一覧にした表を指します。会社によっては力量管理表、能力マップ、多能工マップとも呼ばれます。この記事では、スキルマップの作り方を、作業の切り出し、4段階の判定基準、更新の回し方、使い道の順に整理します。項目の意味や記入例はテンプレートのページにまとめているので、ここでは決め方のほうを扱います。

全体を一覧にしたあとは、1人ぶんに落として履歴を追うことになります。その形は個人別の育成計画にまとめました。

スキルマップ(Excel・無料)部署の全員について、仕事ごとにどこまでできるかを0〜4で並べた表のお手本です。受注から出荷までを回す8人ぶんを記入済みで、1人しかできない仕事と、誰も手を付けていない仕事が読み取れる形にしてあります。編集用の空欄ファイルも付いています。登録不要でダウンロードできます。
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この記事の内容(11項目)
  1. スキルマップとは何を並べた表か
  2. 呼び名は違っても、作るものは同じ
  3. 人事評価表とは分けて持つ
  4. スキルマップの作り方は5つの手順
  5. 最初から全社で作らない
  6. 表計算ソフトで足りる
  7. スキルマップの4段階は、線の引き方で決まる
  8. 2と3の境目を、いちばん具体的に書く
  9. 3と4の境目は「教えられるか」で分ける
  10. 段階の判定は、作業ごとの確認表で残す
  11. スキルマップの項目は、工程ではなく作業で切る
  12. 資格が要る作業には印を付ける
  13. 頻度の低い作業ほど、先に入れる
  14. スキルマップの更新は、年1回では足りない
  15. 定期の更新は、30分で終わる形にする
  16. 本人にも自己申告させる
  17. スキルマップの使い道は3つある
  18. 1人しかできない作業から手を付ける
  19. 育成の順番は、1人1項目に絞る
  20. その日の配置は、別の表で見る
  21. スキルマップが続かないときの直し方
  22. 作り直すより、範囲を狭める
  23. 個人の履歴は別に持つ
  24. スキルマップの作り方にかかわる最近の動き(2026年10月時点)
  25. スキルマップの作り方に出てくる用語
  26. スキルマップの作り方と一緒に押さえておきたいこと
  27. 項目例:製造の1ラインと、事務の1部署
  28. 育成板のスキルマップ様式(0〜4)との対応
  29. 資格が要る作業は、就業制限と特別教育で線が違う
  30. 評価や賃金につなげるなら、先に規程に書く
  31. よくある質問

スキルマップとは何を並べた表か

スキルマップとは、縦に人、横に作業を並べ、交点に習熟度を書き込んだ一覧です。1人ぶんを縦に読むと育成の課題が、1作業ぶんを横に読むと工程の弱さが見えます。

読む向き見えるもの次の一手
縦(1人ぶん)その人が何をどこまでできるか次に何を教えるかを決める
横(1作業ぶん)その作業をできる人が何人いるか1人しかいない作業を洗い出す
全体組織としての技能の偏り採用と配置の判断に使う

ポイントはここです。スキルマップは、育成のための表であると同時に、リスクを見つけるための表でもあります。横に読んで「できる人が1人だけ」の作業が出てきたら、その人が休んだ日に工程が止まります。

呼び名は違っても、作るものは同じ

スキルマップは、製造業では力量管理表、ISO9001の文脈では力量表、多能工化の場面では星取表や多能工マップと呼ばれることがあります。名前が違うだけで、並べるものは同じです。社内で呼び方が2つ以上あるなら、1つに決めてから作り始めると、あとで表が2枚になりません。

人事評価表とは分けて持つ

スキルマップは「その作業ができるか」を書く表です。勤務態度や協調性は入れません。ここを混ぜると、現場が習熟度を正直に付けなくなります。評価に直結しないと約束するほど、スキルマップは正確になります。

スキルマップの作り方は5つの手順

スキルマップの作り方は、次の5手順に分かれます。1と3に時間をかけると、あとが楽になります。

スキルマップの作り方 5手順
1. 作業を洗い出す工程ではなく作業単位
→
2. 対象者を決めるまず1課・1ラインから
→
3. 段階を定義する4段階の線を文章で書く
→
4. 現状を埋める本人と上司で別々に
→
5. 更新の日を決める年2回、日付まで
3を飛ばすと、人によって丸の意味が変わる。5を飛ばすと、半年で誰も見なくなる

最初から全社で作らない

スキルマップを全社一斉に作ろうとすると、作業の洗い出しだけで数か月かかります。1つの課、1つのラインで作り切って、回ることを確かめてから広げるほうが早く着地します。1枚目が回れば、2枚目は形をまねるだけです。

表計算ソフトで足りる

数十人規模であれば、Excelの1シートで十分に回ります。システムが必要になるのは、拠点をまたいで集計したい、資格の期限と連動させたい、といった段階です。先に運用を固めてから、道具を考える順番にすると、途中で止まりません。

スキルマップの4段階は、線の引き方で決まる

スキルマップでいちばん多くつまずくのが、習熟度の段階です。丸・三角・バツの3段階でも、4段階でも構いませんが、それぞれの線を文章で決めていないと、付ける人によって意味が変わります。

一般には、次のような4段階を使っている職場が多くあります。数字の意味を、こうして言葉にしておきます。

段階言葉にした定義1人でやらせてよいか
1説明を受けたことがある。作業は見学のみ不可
2指導者が横についていればできる不可
31人でできる。標準時間と品質を満たす可
41人でできて、人に教えられる。異常に対処できる可。指導者になれる

2と3の境目を、いちばん具体的に書く

4段階のうち、実務でいちばん効くのは2と3の境目です。ここが単独作業を任せてよいかの分かれ目になるからです。「1人でできる」だけでは足りず、何回連続で、どの品質で、どのくらいの時間でできたかまで書くと、判定がぶれません。

ぼやける書き方

3 = 一人でできる

付ける人の感覚で決まる。
甘い人と辛い人で1段階ずれる。

ぶれない書き方

3 = 標準時間の1.2倍以内で、
連続5回、手直しなしでできた

誰が見ても同じ判定になる。
本人も、あと何回かが分かる。

3と4の境目は「教えられるか」で分ける

4は、作業ができるだけでなく、人に教えられる段階です。ここを分けておくと、指導者を誰にするかで迷いません。4の人数がゼロの作業は、育成が止まる作業なので、優先して増やす対象になります。

段階の判定は、作業ごとの確認表で残す

スキルマップの数字は結果だけで、根拠は残りません。誰がいつ何を見て3にしたかは、作業ごとの確認表に残します。役割の分け方は単独作業の許可でも扱っています。

作業習熟確認表(Excel・無料)一つの作業を単独で任せられるか、手順ごとに確認できます。登録不要でダウンロードできます。
テンプレートを見る

スキルマップの項目は、工程ではなく作業で切る

横軸に何を並べるかで、表の使い勝手が決まります。工程名で切ると粗すぎ、動作で切ると細かすぎます。目安は「これができれば1人で任せられる」というまとまりです。

切り方例どうなるか
粗すぎる組立できる・できないしか言えない。育成の順番が出せない
ちょうどよいA製品の基板実装/トルク締結/外観検査次に何を教えるかが決まる
細かすぎるドライバーを持つ/ネジを取る項目が数百になり、埋まらない

1つの課で20から40項目が目安です。50を超えたら、まとめられる項目が混ざっている可能性があります。

資格が要る作業には印を付ける

フォークリフトの運転、玉掛け、アーク溶接といった資格や特別教育が要る作業は、習熟度とは別に資格の有無を先に見る欄を作ります。習熟度が4でも、資格や教育の条件を満たしていなければその日は任せられません。法令でどこに線があるかは、このあとの「一緒に押さえておきたいこと」で整理しています。

頻度の低い作業ほど、先に入れる

毎日やる作業は、放っておいても人が育ちます。危ないのは、月に1回や年に数回しかない作業です。頻度の低い作業こそスキルマップに載せると、できる人が1人だけの状態に早く気づけます。

スキルマップの更新は、年1回では足りない

作ったスキルマップが使われなくなる原因の多くは、更新が止まることです。更新日を先にカレンダーへ入れてしまうのが、いちばん確実です。

きっかけ更新するところ目安
定期全員・全項目を見直す年2回(期初と期央)
習熟度が上がったその人・その作業だけ確認表で合格したその日
入社・異動行を足す、所属を変える配属の日
新製品・新設備列を足す立ち上げの前
手順書を改訂した再教育が要る人に印改訂の周知と同時

定期の更新は、30分で終わる形にする

年2回の見直しに半日かかる形だと、次から後回しになります。変わったところだけを直す会にして、30分で終わらせると続きます。全項目を1から付け直す必要はありません。

本人にも自己申告させる

上司だけで付けると、本人の実感とずれることがあります。本人と上司が別々に付けて、違ったところだけ話すと短い時間で済みます。ずれた項目は、育成の話をする材料になります。

スキルマップの使い道は3つある

作っただけで終わらせないために、使い道を先に決めておきます。一般には、次の3つに使われています。

使い道見るところつながる表
育成の順番を決める縦に読んで、次の1項目を選ぶ個人別育成カード、OJT計画表
その日の配置を決める横に読んで、3以上の人を探す多能工配置確認表
穴を見つける3以上が1人だけの作業を探す年間教育計画

1人しかできない作業から手を付ける

スキルマップを作った直後にやることは、できる人が1人だけの作業を数えることです。この数が、その職場のいちばん分かりやすい弱点になります。ここを2人にするだけで、休みが取りやすくなります。

育成の順番は、1人1項目に絞る

1人に3つも4つも同時に教えると、どれも中途半端に終わります。次の3か月で上げる項目を1つだけ決めると、指導する側も何を見ればよいか分かります。3か月ぶんの組み立て方はOJT計画の作り方にまとめています。

その日の配置は、別の表で見る

スキルマップは全体の一覧なので、朝の配置決めには情報が多すぎます。その日必要な技能を持つ人がそろっているかだけを見る表を別に持つと、朝礼で判断できます。

多能工配置確認表(Excel・無料)その日の作業に必要な技能を持つ人がいるかだけを確認します。登録不要でダウンロードできます。
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スキルマップが続かないときの直し方

止まったスキルマップには、だいたい決まった原因があります。作り直す前に、どれに当てはまるかを見てください。

症状よくある原因直し方
誰も見に来ない使い道が決まっていない朝の配置決めか、育成面談のどちらかで必ず開く
丸ばかりになる段階の定義が無い2と3の境目を文章で決め直す
更新されない更新のきっかけが決まっていない年2回の日付を先に入れる
項目が多すぎて埋まらない動作の単位で切っている「1人で任せられる単位」に統合する
現場が正直に付けない人事評価に使われている評価と切り離すことを明言する

作り直すより、範囲を狭める

うまく回っていないスキルマップを作り直すと、また同じところで止まりがちです。対象を1ラインに絞って、回ることを確かめてから広げるほうが、結果的に早く全社に届きます。

個人の履歴は別に持つ

スキルマップは今の状態の一覧で、履歴は残りません。いつ何を教えて、いつ上がったかを1人ぶんで追いたい場合は、個人別の育成カードを併せて持ちます。一覧と履歴は、別の表で持つと両方きれいに残ります。

スキルマップの作り方にかかわる最近の動き(2026年10月時点)

スキルマップの作り方そのものを決めた法令はありません。ただ、スキルマップの「中身」になる教育や力量の扱いと、育成を外に説明する場面には、ここ数年で変わったところがあります。日付順に並べます。

時期出来事スキルマップの作り方への影響
2023年1月31日企業内容等の開示に関する内閣府令が改正され、有価証券報告書で「人材の多様性の確保を含む人材育成の方針」「社内環境整備の方針」と、その指標の記載が求められるようになった。2023年3月31日以後に終了する事業年度の報告書から適用上場企業では、育成の方針を指標で説明する場面ができた。取引先から育成の仕組みを聞かれたときにも、作業ごとの到達度を並べた一覧は説明の材料として使える
2024年4月1日労働安全衛生規則35条(雇入れ時等の教育)が改正され、一部の業種で「機械等の危険性」「安全装置・保護具」「作業手順」「作業開始時の点検」の教育を省略できるとしていた規定が削られた業種にかかわらず、雇い入れたときと作業内容を変えたときに作業手順などを教えることになった。スキルマップの項目と教育の記録を同じ作業名でそろえておくと、どこまで教えたかが一目で分かる
2025年5月14日労働安全衛生法などの改正法(令和7年法律第33号)が公布個人事業者等への安全衛生対策、高年齢労働者の労働災害防止などが盛り込まれた
2026年4月1日改正法の主な部分が施行。高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善や作業の管理が、事業者の努力義務になった(労働安全衛生法62条の2)年齢で段階を下げるのではなく、作業ごとに「時間の条件」や「重量物の有無」を見直すきっかけになる
2026年9月16日ISO 9001:2026 が発行。2015年版からの移行期限は2029年9月30日とされている力量表としてスキルマップを使っている会社は、移行のときに手順書が参照している箇条番号を確かめる

スキルマップの作り方で押さえておきたいのは、法令が求めているのは「教育を行うこと」と「資格のある人を就かせること」で、一覧の形は会社が決めてよいという点です。2024年の改正で教育の対象が広がったので、教えたことの到達度を残す場所としてスキルマップを使うと、記録が二重になりません。

出典:「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正(金融庁)、労働安全衛生規則等の一部を改正する省令等の施行について(基発0531第9号、厚生労働省)、労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の概要(厚生労働省)、労働安全衛生法(e-Gov法令検索)、ISO 9001:2026 の発行(ISO)

確認日は2026年10月3日です。教育の範囲や資格の要否で迷うときは、所轄の労働基準監督署にご確認ください。ISO の移行の時期は、認証を受けている認証機関にご確認ください。

スキルマップの作り方に出てくる用語

スキルマップの作り方を調べると、法令や規格の言葉と、現場の言葉が混ざって出てきます。表の欄を作るときに迷いやすいものを並べます。

用語意味出典
スキルマップ人と作業を縦横に並べ、交点に到達度を書いた一覧。力量管理表、力量表、星取表とも呼ばれる法令上の定義はない
力量意図した結果を達成するために、知識と技能を使う能力JIS Q 9000:2015 3.10.4
力量の証拠必要な力量を備えていることを示す記録。適切な文書化した情報として保持するISO 9001:2015 7.2 d)
職業能力評価基準仕事に必要な知識、技術・技能、成果につながる職務行動例を、業種別、職種・職務別に整理したもの。キャリアマップや職業能力評価シートと組み合わせて使う厚生労働省
雇入れ時等の教育雇い入れたときと作業内容を変えたときに行う安全衛生の教育。作業手順、作業開始時の点検などを含む労働安全衛生法59条1項・2項、労働安全衛生規則35条
特別教育危険・有害な業務に就かせるときに行う教育。対象の業務は規則に列挙されている。受講者と科目の記録を3年間保存する労働安全衛生法59条3項、労働安全衛生規則36条・38条
就業制限クレーンの運転、フォークリフトの運転など、免許や技能講習の修了などの資格がある人でなければ就かせてはならない業務労働安全衛生法61条、同法施行令20条
多能工複数の工程や作業を担当できる人法令上の定義はない

スキルマップの作り方で押さえておきたいのは、「力量」は知識と技能を使って結果を出せるかで定義されていることです。研修に出たかどうかではなく、作業を決めた品質と時間でできたかで段階を付ける作り方は、この定義に沿った形になります。

スキルマップの作り方と一緒に押さえておきたいこと

スキルマップの作り方の解説は、項目を洗い出して段階を付けるところで終わることが多くあります。現場で表を回すときに先に決めておくとよいことを4つ挙げます。

項目例:製造の1ラインと、事務の1部署

スキルマップの項目は「これができれば1人で任せられる」単位で切ると、上で書きました。実際の項目例を2つ並べます。どちらも6〜8項目で、1枚に収まる数です。

職場項目例(横軸に並べる作業)資格・教育の欄に印を付けるもの
製造の組立ライン部品の受入検査/段取り替え/トルク締結/外観検査/不良品の処置と記録/材料の運搬(フォークリフト)/設備の始業点検材料の運搬(フォークリフトの運転)。設備によってはアーク溶接や研削といしの取替えも
事務・出荷の部署受注入力/出荷指示/在庫の引当/請求書の発行/客先の納期照会/返品・交換の処理通常は無い。倉庫でフォークリフトを使うなら、その作業だけ印を付ける

製造の例では「組立」とまとめず、段取り替えや不良品の処置のように頻度は低いが止まると困る作業を別の列に出しています。ここが1人しかできない作業になりやすいところです。

育成板のスキルマップ様式(0〜4)との対応

育成板で配っているスキルマップのExcelは、0〜4の5段階で付ける形です。この記事の4段階とは、おおよそ次のように対応します(判断のしかたは同じではないので、近いものを並べています)。記事の段階1を「0 未経験」と「1 手順書を見ながら」に、段階4を「3 例外に対応できる」と「4 人に教えられる」に分けた形です。

この記事の4段階様式の0〜4様式での判断のしかた
1 説明を受けた・見学のみ0 未経験一度も1人で担当していなければ0。研修を受けただけも0
2 指導者が横についていればできる1 手順書を見ながら手順書を渡して1人でやらせ、止まらずに終わるかで見る
3 1人でできる2 1人でできる直近3か月に1人で担当した実績があるかで見る
4 教えられる・異常に対処できる3 例外に対応できる直近1年に例外の処理を実際にしたかで見る
4 人に教えられる教えた相手が1人でできるようになったかで見る

様式のお手本は、受注から出荷までを回す8人ぶんを記入済みで、更新は四半期ごとにしています。この記事では年2回と書きましたが、人の出入りが多い職場は四半期、落ち着いている職場は年2回と、職場に合わせて決めて構いません。段階の数より、線の引き方を先に決めることのほうが効きます。

資格が要る作業は、就業制限と特別教育で線が違う

スキルマップの資格の欄は、2種類に分けておくと取り違えが起きません。免許や技能講習が要る業務(就業制限)と、特別教育が要る業務です。同じフォークリフトでも、大きさで線が変わります。

作業要るもの根拠
最大荷重1トン以上のフォークリフトの運転技能講習の修了など(就業制限)労働安全衛生法61条、同法施行令20条11号
最大荷重1トン未満のフォークリフトの運転特別教育労働安全衛生規則36条5号
つり上げ荷重1トン以上のクレーン等の玉掛け技能講習の修了など(就業制限)同法施行令20条16号
つり上げ荷重1トン未満のクレーン等の玉掛け特別教育労働安全衛生規則36条19号
アーク溶接等特別教育労働安全衛生規則36条3号

就業制限の業務は、資格のある人が作業するときに免許証などを携帯していることも求められています(労働安全衛生法61条3項)。特別教育は、受講者と科目の記録を3年間保存すると定められています(労働安全衛生規則38条)。習熟度が高くても、この2つが欠けていれば任せられません。1人で任せるかの判断の手順は単独作業の許可で、期限の見張り方は資格管理の方法で扱っています。

評価や賃金につなげるなら、先に規程に書く

スキルマップは評価と切り離すほうが正確になる、と上で書きました。それでも段階を手当や昇給に使う場合は、使い方を規程に書いてから始めます。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、賃金の決定や昇給に関する事項は就業規則に定めて届け出る事項とされています(労働基準法89条2号)。段階と手当の対応を決めずに運用を始めないことがポイントです。扱いに迷うときは、所轄の労働基準監督署か社会保険労務士にご確認ください。

育成板 編集部がまとめました様式を無料で配り、使い方と法令の決まりを記事にまとめています。法令の数字は e-Gov の原文で確かめてから載せています。

よくある質問

Q. スキルマップの段階は3段階と4段階のどちらがよいですか?
単独作業を任せてよいかを判断に使うなら4段階をおすすめします。3段階だと「1人でできる」と「教えられる」が同じ印になり、指導者を誰にするかが表から出せません。ただし段階を増やすことより、それぞれの線を文章で決めることのほうが大事です。
Q. スキルマップと力量管理表は違うものですか?
中身はほぼ同じものです。製造業やISO9001の文脈で力量管理表、人材育成の文脈でスキルマップと呼ばれる傾向があります。社内で2つの呼び方が併存していると表も2枚になりやすいので、どちらかに寄せることをおすすめします。
Q. 習熟度は誰が付けるのがよいですか?
本人と直属の上司が別々に付けて、食い違った項目だけを話し合う方法が短時間で済みます。判定の根拠が要る作業については、作業ごとの確認表で実際の作業を見てから確定させると、あとで説明ができます。
Q. スキルマップを人事評価に使ってもよいですか?
使えないわけではありませんが、使うと決めた時点で現場が習熟度を正直に付けなくなる傾向があります。育成と配置のための表として運用し、評価には目標の達成度など別の材料を使うほうが、表の精度は保てます。
Q. 項目はどのくらいの数が適切ですか?
1つの課で20から40項目が目安です。50を超えるときは、動作の単位まで細かく切っている可能性があります。「これができれば1人で任せられる」というまとまりに統合してください。
Q. 資格が必要な作業はスキルマップにどう書けばよいですか?
習熟度の欄とは別に、資格の有無と有効期限を見る欄を作ることをおすすめします。習熟度が高くても資格が切れていれば作業に就けないため、同じ欄に混ぜると判断を誤ります。期限の管理は資格更新期限管理表のような別の表に寄せると切らしにくくなります。
スキルマップ(Excel・無料)部署の全員について、仕事ごとにどこまでできるかを0〜4で並べた表のお手本です。受注から出荷までを回す8人ぶんを記入済みで、1人しかできない仕事と、誰も手を付けていない仕事が読み取れる形にしてあります。編集用の空欄ファイルも付いています。登録不要でダウンロードできます。
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