外部講師の手配|依頼から当日までに決めておくこと
社内で研修をやることになり、外部から講師を呼んだ。当日の話は上手だったが、内容が一般論ばかりで、参加者からは「うちの現場では使えない」という反応だった。依頼のときに、前提を渡していなかったのが原因です。
外部講師は、こちらが渡した情報の範囲でしか準備できません。この記事では、外部講師の手配について、依頼のしかた、伝えるべき前提、当日の準備、費用の確認を整理します。記録の様式は、テンプレートのページから無料でダウンロードできます。
この記事の内容(8項目)
- 呼ぶ前に、社内でできないかを確認する
- 公開講座に出すほうが安い場合もある
- 社内でできることは、社内で
- 目的を1行にしてから探す
- 依頼のときに渡す前提は5つ
- やる理由を、正直に伝える
- 参加者の顔ぶれを、数字で伝える
- 持ち帰ってほしいことを、3つ以内で
- 事前の打ち合わせを1回入れる
- 費用は、依頼の前に総額で確認する
- 支払いの方法を、経理と先に確認する
- 1回あたりの単価を、記録に残す
- 複数回まとめると、下がることがある
- 当日までの準備を、一覧で持つ
- 機材は、実際に接続して試す
- 参加者に、事前の案内を出す
- 講師の到着から退出までを、誰かが担当する
- 予備の時間を取っておく
- 当日と直後に、記録を残す
- アンケートは、その場で書かせる
- 講師にも、結果を返す
- 受講の記録に、反映する
- 外部講師を選ぶときに見るところ
- 現場を見てもらえるかが、分かれ目
- 資料の扱いを、先に確認する
- 初めての講師は、1回試してから
- 合わなかった理由も、記録に残す
- 呼んだのに効果が出ないときに見るところ
- 受けたあとに試す場を作る
- 参加者を、目的に合う人にする
- やめる判断も持つ
- よくある質問
呼ぶ前に、社内でできないかを確認する
費用がかかるので、外部でなければできない内容かどうかを先に見ます。
| 内容 | 向いている形 | 理由 |
|---|---|---|
| 自社の設備、製品、手順 | 社内 | 外部には教えられない |
| 法令、規格の解説 | 外部 | 正確さが要る。改正も追ってくれる |
| 他社の事例、業界の動向 | 外部 | 社内には情報が無い |
| 指導や面談の技術 | 外部で基礎、社内で実践 | 型は外で学び、自社の場面で使う |
| 資格、特別教育 | 外部(登録教習機関など) | 実施できる機関が決まっている |
公開講座に出すほうが安い場合もある
受講者が数人なら、講師を呼ぶより公開講座に出すほうが総額で安くなります。呼ぶ意味が出るのは、10人以上をまとめて受けさせる場合や、自社の事情に合わせた内容が要る場合です。
社内でできることは、社内で
自社の設備や手順は、外部の講師には教えられません。社内講師と外部講師で、役割を分けておくと、どちらにも頼みやすくなります。育て方は社内講師の育成にまとめています。
目的を1行にしてから探す
「何か研修を」で探すと、講師の得意な内容で決まります。誰に、何ができるようになってほしいのかを1行で書いてから探すと、合う人が選べます。
依頼のときに渡す前提は5つ
講師はこちらが渡した情報でしか準備できません。次の5つを、依頼の時点で渡します。
| 渡すもの | 渡さないとどうなるか |
|---|---|
| 参加者の顔ぶれ | 階層や経験がずれ、話が届かない |
| 業種と現場の状況 | 一般論だけの内容になる |
| この研修をやる理由 | 会社が困っていることに触れない |
| 持ち帰ってほしいこと | 網羅的な話で終わる |
| 時間と会場の条件 | 演習が入らない、機材が使えない |
やる理由を、正直に伝える
「不良が続いているので」「指導者が育たないので」といった背景を伝えると、講師が内容を寄せてくれます。隠すと、当たり障りのない話になります。
参加者の顔ぶれを、数字で伝える
「若手中心」ではなく、「20代が8人、30代が4人、経験3年未満が6人」のように伝えると、講師が話す高さを決められます。
持ち帰ってほしいことを、3つ以内で
あれもこれもと伝えると、内容が薄くなります。3つ以内に絞ると、講師も組み立てやすくなります。
事前の打ち合わせを1回入れる
書面だけだと伝わりきりません。30分でよいので、事前に話す機会を作ると、当日の内容が変わります。可能なら現場を見てもらいます。
費用は、依頼の前に総額で確認する
謝金だけを聞いて決めると、あとから費用が増えます。含まれるものを項目で確認します。
| 確認すること | 見落とすとどうなるか |
|---|---|
| 謝金の額と、税の扱い | 請求額が想定と違う |
| 交通費、宿泊費の負担 | 遠方の講師だと大きく変わる |
| 教材費、資料の印刷 | 当日に人数分の印刷を頼まれる |
| 事前打ち合わせの費用 | 打ち合わせにも費用がかかる場合がある |
| キャンセル料の発生時期 | 日程変更で費用が発生する |
| 源泉徴収の要否 | 支払いの手続きが直前に慌てる |
支払いの方法を、経理と先に確認する
個人へ依頼する場合と、会社へ依頼する場合で手続きが違います。源泉徴収の要否や、支払いの時期を経理に確認しておくと、当日に慌てません。
1回あたりの単価を、記録に残す
次に頼むときや、他の講師と比べるときに使えます。謝金と総額の両方を残すと、来期の予算にも使えます。費用の見方は教育研修費の予算にまとめています。
複数回まとめると、下がることがある
年間で数回お願いする予定があるなら、まとめて相談すると条件が変わる場合があります。年間計画の段階で見通しを立てておきます。
当日までの準備を、一覧で持つ
当日になって足りないものが出ると、講師にも参加者にも迷惑がかかります。準備の一覧を1枚持っておきます。
機材は、実際に接続して試す
当日に映らない、音が出ないというのがいちばん多い失敗です。前日までに、実際の会場で接続して試します。変換のケーブルも用意しておきます。
参加者に、事前の案内を出す
何のための研修かを知らずに来ると、受け身になります。目的と、持ち帰ってほしいことを1行で伝えておくと、当日の聞き方が変わります。
講師の到着から退出までを、誰かが担当する
出迎え、控室、昼食、帰りの案内まで、1人が担当を持つと、講師が困りません。当日の進行と兼ねないほうが確実です。
予備の時間を取っておく
質疑が伸びることも、機材で遅れることもあります。終了予定の後ろに15分の余裕を見ておくと、慌てずに済みます。
当日と直後に、記録を残す
次に頼むかどうかの判断は、記憶ではなく記録で行います。その日のうちに残します。
| 残すこと | 次にどう使うか |
|---|---|
| 実施日、内容、時間 | 実施の記録 |
| 参加者と欠席者 | 受講の記録に反映する |
| 講師名、所属、連絡先 | 次に頼むときに使う |
| 費用の総額 | 予算の実績、次回の見積り |
| 参加者の反応 | 次に頼むかの判断 |
| 次回への申し送り | 時間配分、内容の過不足 |
アンケートは、その場で書かせる
持ち帰らせると回収率が下がります。終了前の5分を回答の時間に組み込むと、全員ぶんがそろいます。設問の作り方は研修の効果測定にまとめています。
講師にも、結果を返す
アンケートの結果を伝えると、次回の内容が良くなります。点数だけでなく、自由記述も渡すと、講師も改善できます。
受講の記録に、反映する
社内で実施した研修も、誰が受けたかを人ごとの一覧に反映します。欠席者を拾って、次の機会に回すところまでやります。
外部講師を選ぶときに見るところ
紹介や営業の熱心さで決めると、内容とずれることがあります。同じ項目で比べます。
| 見ること | 確かめ方 |
|---|---|
| その業種での実績 | 過去にどんな会社で行ったか |
| 演習の割合 | 座学だけか、やってみる時間があるか |
| 事前の打ち合わせに応じるか | 依頼のときに聞く |
| 現場を見に来てくれるか | 同上 |
| 資料をもらえるか | あとで社内で使えるか |
現場を見てもらえるかが、分かれ目
短時間でも現場を見た講師は、当日の話に自社の場面が入ります。ここが一般論との差になります。
資料の扱いを、先に確認する
研修の資料を社内で再利用してよいかは、講師によって扱いが違います。依頼のときに確認しておくと、あとで使えるかどうかが分かります。
初めての講師は、1回試してから
いきなり全社の研修を任せると、外したときの損が大きくなります。1つの部署で試してから広げると安全です。
合わなかった理由も、記録に残す
良かった講師だけを残すと、翌年また同じ失敗をします。合わなかった理由を1行残すと、次に候補から外せます。
呼んだのに効果が出ないときに見るところ
講師の質だけが原因とは限りません。依頼のしかたと、受け入れ側の準備を見ます。
| 症状 | よくある原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 内容が一般論だった | 前提を渡していない | 参加者の顔ぶれと背景を渡す |
| 参加者が受け身だった | 目的が伝わっていない | 事前に案内を出す |
| 時間が足りなかった | 盛り込みすぎ | 持ち帰ってほしいことを3つ以内に |
| その後、何も変わらない | 職場に戻ってから試す場が無い | 1か月以内に試す場面を作る |
| 毎年同じ内容を繰り返している | 効果を見ていない | 年1回、続けるかを判断する |
受けたあとに試す場を作る
研修の効果は、職場に戻ってからの環境で決まります。学んだことを試せる場面を1か月以内に作ると定着します。ここが無いと、費用は流れて消えます。
参加者を、目的に合う人にする
手が空いている人を集めると、内容が合いません。目的に合う人を先に決めてから、日程を調整します。
やめる判断も持つ
毎年やっているが誰も変わらない研修は、続ける理由を見直す対象です。年に1回、続けるかどうかを内容ごとに判断します。やめれば、その費用を別のことに使えます。
よくある質問
- Q. 外部講師を呼ぶか、公開講座に出すかは、どう判断しますか?
- 受講者が数人なら、公開講座に出すほうが総額で安くなることが多くあります。講師を呼ぶ意味が出るのは、10人以上をまとめて受けさせる場合や、自社の事情に合わせた内容が必要な場合です。あわせて、自社の設備や手順は外部には教えられないため、社内講師との役割分担も先に決めておいてください。
- Q. 依頼するとき、講師に何を伝えればよいですか?
- 参加者の顔ぶれ、業種と現場の状況、この研修をやる理由、持ち帰ってほしいこと、時間と会場の条件の5つです。とくに、やる理由は正直に伝えてください。「不良が続いている」「指導者が育たない」といった背景を伝えると、講師が内容を寄せてくれます。隠すと当たり障りのない話になります。
- Q. 参加者の情報は、どのくらい細かく伝えるべきですか?
- 「若手中心」ではなく「20代が8人、30代が4人、経験3年未満が6人」のように数字で伝えてください。講師が話す高さを決められます。あわせて、30分でよいので事前の打ち合わせを1回入れ、可能なら現場を見てもらうと、当日の内容が変わります。
- Q. 費用は謝金だけを確認すればよいですか?
- 総額で確認してください。交通費と宿泊費の負担、教材費と資料の印刷、事前打ち合わせの費用、キャンセル料の発生時期、源泉徴収の要否まで含めて聞きます。個人へ依頼する場合と会社へ依頼する場合で手続きが違うため、支払いの方法は経理に先に確認しておくと当日慌てません。
- Q. 当日の準備で、いちばん失敗が多いのはどこですか?
- 機材です。当日に映らない、音が出ないというのがもっとも多い失敗になります。前日までに、実際の会場で接続して試してください。変換のケーブルも用意しておきます。あわせて、資料は2週間前に受け取らないと印刷が間に合いません。
- Q. 初めて頼む講師は、どう見極めればよいですか?
- その業種での実績、演習の割合、事前の打ち合わせに応じるか、現場を見に来てくれるか、資料をもらえるかの5点を同じように当てて比べてください。とくに、短時間でも現場を見た講師は当日の話に自社の場面が入ります。いきなり全社の研修を任せず、1つの部署で試してから広げると安全です。
- Q. 呼んだのに、その後現場が何も変わりません。
- 研修の効果は、職場に戻ってからの環境で決まります。学んだことを試せる場面を1か月以内に作ってください。ここが無いと費用は流れて消えます。あわせて、参加者が目的に合う人だったか、持ち帰ってほしいことを3つ以内に絞れていたかも確認してください。毎年やっているが誰も変わらない研修は、続ける理由を見直す対象です。
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