免許証と修了証の確認|会社の確認方法とマイナ免許証の見方
採用のときに免許証のコピーをもらって、それきり。5年経って更新されているかどうかは、誰も見ていない。コピーは、その日の状態を写しただけのものです。
資格や免許の確認は、一覧表に書き写すだけでは足りません。実際の紙を見て、期限と氏名を確かめるところまでが確認です。この記事では、免許証と修了証の確認を、現物を見る理由、確認する項目、頻度、記録の残し方の順に整理します。
この記事の内容(11項目)
- 現物を見ないと分からないことがある
- 限定や条件の欄を、必ず見る
- コピーは、確認の代わりにならない
- その場で返す
- 技能講習の修了証は、本人のもの
- 会社は、見て記録するだけ
- 紛失していたら、本人に手続きしてもらう
- 特別教育の記録は、会社が持つ
- 確認する項目は5つ
- 交付元を、必ず控える
- 有効期限の無いものにも、確認日を書く
- 写しを取るなら、扱いを決めておく
- 確認の頻度は、年1回でよい
- 更新したら、必ず新しい紙を見る
- 棚卸しと同じ日にやる
- 配置換えのときは、その作業に必要なものだけ
- 確認したことを、記録に残す
- 一覧表の「確認日」欄と、つなげる
- 期限の管理は、別の表で行う
- 確認できなかったものも、記録する
- 確認の結果を、作業の割り当てに反映する
- 期限切れが見つかったら、作業を止めるのが先
- 条件が付いていたら、許可を見直す
- いつから切れていたかを、確認する
- 現物確認が進まないときの直し方
- 1件30秒で終わる形にする
- 資格が要る作業をする人から始める
- 本人にも、期限を知らせる
- 免許証の確認にかかわる最近の動き(2026年10月時点)
- 免許証の確認に出てくる用語
- 免許証の確認と一緒に押さえておきたいこと
- 免許証の確認方法は、マイナ免許証なら本人のアプリで見る
- 運転免許の確認は、安全運転管理者の業務とつなげる
- 修了証は、作業中に本人が持っている状態にする
- よくある質問
現物を見ないと分からないことがある
本人の申告と一覧表だけで管理していると、次のようなずれが起きます。紙を見れば、その場で分かります。
| 起きるずれ | 現物を見ると |
|---|---|
| 期限が切れていた | 有効期限の欄で分かる |
| 似た名前の別の講習だった | 正式な名称で確認できる |
| 取得したと思い込んでいた | そもそも紙が無い |
| 結婚などで氏名が変わっていた | 書替えが必要と分かる |
| 限定条件が付いていた | 条件の欄で分かる |
限定や条件の欄を、必ず見る
資格によっては、扱える機械の大きさや種類に条件が付いています。資格名だけを一覧に写すと、この条件が消えます。作業に就かせる前に効いてきます。
コピーは、確認の代わりにならない
コピーがあると確認した気になりますが、それは撮った日の状態です。更新されているかどうかは、あらためて見ないと分かりません。
その場で返す
免許証や修了証を預かると、紛失したときに揉めます。その場で見て、確認した日を記録して返すのが安全です。
技能講習の修了証は、本人のもの
会社が保管するものと思われがちですが、制度上の扱いは違います。ここを知らないと、退職のときに揉めます。
会社は、見て記録するだけ
本人のものである以上、会社は現物を確認して記録を残す扱いにするのが基本です。預かって保管する運用にしていると、退職時に返却の問題が発生します。さらに、免許や技能講習が要る業務(就業制限業務)に就く人は、その業務をするときに免許証や修了証を携帯していなければならないと定められています(労働安全衛生法61条3項)。会社が原本を預かると、この決まりと合わなくなります。
紛失していたら、本人に手続きしてもらう
確認したときに紛失が分かった場合、再交付の申込先は交付元の登録教習機関です。どこで受講したかを本人に確認してもらうところから始まります。交付元が技能講習の業務をやめている場合は、厚生労働大臣が指定する機関に申し込んで、修了したことを証する書面(技能講習修了証明書)の交付を受けます(安衛則第82条第3項)。時間がかかるので、早めに動きます。
特別教育の記録は、会社が持つ
修了証が本人のものであることとは別に、特別教育を行ったときの記録は、安衛則第38条により会社が3年間保存します。受講者や科目等の記録が対象です。ほかの教育には保存年数を定めた条文が無いので、一律に3年と決めないようにします。
確認する項目は5つ
見る項目を決めておくと、1件30秒で終わります。次の5つを順に見ます。
| 見る順 | 項目 | 確かめること |
|---|---|---|
| 1 | 氏名 | 本人のものか。変わっていないか |
| 2 | 資格・講習の名称 | 必要な資格と一致しているか |
| 3 | 有効期限 | 切れていないか。いつまでか |
| 4 | 条件・限定 | 扱える範囲に制限が無いか |
| 5 | 交付元 | 再交付が必要になったときの申込先 |
交付元を、必ず控える
再交付が必要になったとき、どこで受講したか分からないと手続きが始まりません。交付元の名称を記録しておくと、本人が忘れていても分かります。
有効期限の無いものにも、確認日を書く
期限が無い資格でも、いつ現物を見たかは残します。「確認したことがある」と「見たことがない」を区別できます。
写しを取るなら、扱いを決めておく
写しを取る場合は、個人情報として保管します。誰が見られるか、いつまで持つかを先に決めます。現物確認の記録だけで足りるなら、写しは取らないという選択もあります。
確認の頻度は、年1回でよい
毎月見る必要はありません。年1回の棚卸しと、節目のときに見れば足ります。
更新したら、必ず新しい紙を見る
「受講しました」という報告だけで一覧の期限を書き換えると、実は不合格だった、日程が変わっていた、という取り違えが残ります。新しい紙を見るまでが1件です。
棚卸しと同じ日にやる
現物確認だけのために全員を集めるのは大変です。保有資格の棚卸しと同じ日にまとめてやると、1回で済みます。作り方は有資格者一覧表の作り方にまとめています。
配置換えのときは、その作業に必要なものだけ
異動のたびに全部を見る必要はありません。新しい部署で必要になる資格に絞って確認します。前の部署で使っていなかった資格は、期限が切れていることがあります。
確認したことを、記録に残す
確認したかどうかが残っていないと、次に誰かが同じ確認をします。記録に残すのは4項目で足ります。
| 残すこと | なぜ要るか |
|---|---|
| 確認日 | いつの状態か |
| 確認した人 | 誰が見たか |
| 見た項目と結果 | 期限、条件、氏名の一致 |
| 次に確認する時期 | 期限の前に見るタイミング |
一覧表の「確認日」欄と、つなげる
保有資格の一覧に確認日の列を持たせておくと、長く確認していない行が並べ替えで上に来ます。次に見るべき人が分かります。
期限の管理は、別の表で行う
現物確認の記録に期限を書いても、期限順に並べ替えられません。切らさないための見張りは、期限管理の表で行います。役割の分け方は資格管理の方法で扱っています。
確認できなかったものも、記録する
本人が持ってこなかった、紛失していた、という場合も記録に残します。空欄のままにすると、確認済みと区別できません。次にいつ確認するかも書いておきます。
確認の結果を、作業の割り当てに反映する
確認して終わりにすると、期限切れが見つかっても現場が動きません。その日の作業に反映するところまでを1件にします。
| 確認の結果 | その場でやること |
|---|---|
| 期限が切れていた | その資格が要る作業から外す。更新を手配する |
| もうすぐ切れる | 更新の日程を押さえる |
| 条件が付いていた | 任せる作業の範囲を見直す |
| 紛失していた | 本人に再交付を申し込んでもらう |
| そもそも持っていなかった | 作業から外し、取得を計画する |
期限切れが見つかったら、作業を止めるのが先
手続きより先に、その資格が必要な作業から本人を外します。気づいていながら作業を続けさせると、問題が大きくなります。
条件が付いていたら、許可を見直す
扱える範囲に制限がある場合、単独作業の許可の範囲も変わります。許可の記録に条件を書き足します。判断のしかたは単独作業の許可にまとめています。
いつから切れていたかを、確認する
期限切れが見つかったら、その間に作業していたかどうかを確認します。顧客への報告が必要になる場合もあります。
現物確認が進まないときの直し方
やったほうがよいと分かっていても、手が回らない。原因は決まっています。
| 症状 | よくある原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 採用時以降、一度も見ていない | 確認のきっかけが無い | 年1回の棚卸しと同じ日にやる |
| 本人が持ってこない | いつ何を持ってくるか伝えていない | 対象の資格名を事前に伝える |
| 見る項目がばらつく | 確認する項目が決まっていない | 5項目のチェック欄を作る |
| 更新後の確認が抜ける | 報告だけで期限を書き換えている | 新しい紙を見るまでを1件にする |
| 預かったまま返していない | 保管する運用になっている | その場で見て返す形に変える |
1件30秒で終わる形にする
手間がかかると後回しになります。5項目のチェック欄がある用紙を用意すれば、1件30秒で終わります。20人でも10分です。
資格が要る作業をする人から始める
全員を一度に見ようとすると着手できません。資格が必要な作業に就いている人から始めれば、危ないところから埋まります。
本人にも、期限を知らせる
確認のときに「あと2年で切れます」と伝えると、本人も意識するようになります。管理する側だけが知っている状態にしないほうが、切らしにくくなります。
免許証の確認にかかわる最近の動き(2026年10月時点)
免許証の確認のしかたは、運転免許の側で大きく変わりました。マイナンバーカードと一体になった免許(マイナ免許証)は、券面を見ても有効期限が分かりません。技能講習の修了証の交付と再交付のしくみは、2023年以降変わっていません。確かめられたものを日付順に並べます。
| 時期 | できごと | 根拠 |
|---|---|---|
| 2023年12月1日 | 安全運転管理者に、アルコール検知器を使った運転前後の酒気帯び確認と、記録の1年保存が義務になる | 道路交通法施行規則9条の10第6号・7号、警察庁 |
| 2025年3月24日 | マイナンバーカードと運転免許証の一体化が全国で始まる。マイナ免許証だけ、従来の免許証との2枚持ち、従来の免許証だけ、の3つから選べる。マイナ免許証の券面には免許に関する事項が書かれず、番号・種類・有効期間の末日・条件などはICチップに記録される | 道路交通法95条の2、警察庁 |
| 2025年3月24日 | 警察庁がマイナ免許証読み取りアプリの提供を始める。ICチップの免許情報を読むには、免許を持つ本人が一体化のときに設定した暗証番号が要る | 警察庁 マイナ免許証読み取りアプリ専用サイト |
| 2025年6月1日 | 刑法の改正で「懲役」が「拘禁刑」に変わる。資格の無い人を就業制限業務に就かせた場合の罰則は「6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」になった | 労働安全衛生法61条1項・119条1号 |
ポイントはここです。マイナ免許証を使っている人の有効期限は、券面を見るだけでは確かめられません。本人にアプリで読み取ってもらい、その画面を一緒に見る形に変えると、現物を見る確認を続けられます。緑ナンバーの貨物の事業者が作る運転者等台帳も、今の条文では「運転免許証又は免許情報記録の番号及び有効期限」を書くことになっています(貨物自動車運送事業輸送安全規則9条の5)。
出典:警察庁 マイナンバーカードと運転免許証の一体化、警察庁 マイナ免許証読み取りアプリ専用サイト、警察庁 安全運転管理者の業務の拡充等、e-Gov法令検索(労働安全衛生法)、e-Gov法令検索(労働安全衛生規則)、e-Gov法令検索(道路交通法)、e-Gov法令検索(貨物自動車運送事業輸送安全規則)。確認日は2026年10月3日です。運転免許の扱いは都道府県の運転免許センターまたは警察署、技能講習と就業制限は所轄の労働基準監督署にご確認ください。
免許証の確認に出てくる用語
免許証の確認では、運転免許の言葉と、労働安全衛生法の資格の言葉が混ざります。どこで決まっている言葉かを添えて並べます。
| 用語 | 意味 | 出典 |
|---|---|---|
| 運転免許証 | 公安委員会が交付する、自動車などの運転免許を受けていることを示す証明書 | 道路交通法92条 |
| マイナ免許証 | 免許の情報(特定免許情報)を記録したマイナンバーカード。法令では「免許情報記録個人番号カード」と呼ぶ。「マイナ免許証」は警察庁の呼び方 | 道路交通法95条の2、警察庁 |
| 就業制限業務 | クレーンの運転やフォークリフトの運転など、免許を受けた人や技能講習を修了した人でなければ就かせてはならない業務 | 労働安全衛生法61条、同法施行令20条 |
| 免許証(労働安全衛生法) | 都道府県労働局長が交付する、クレーン運転士などの免許の証明書 | 労働安全衛生法72条 |
| 技能講習修了証 | 技能講習を行った登録教習機関が、修了した本人に交付する証明書 | 労働安全衛生規則81条 |
| 技能講習修了証明書 | 交付元の登録教習機関が業務をやめているときに、厚生労働大臣が指定する機関が交付する、修了を証する書面 | 労働安全衛生規則82条3項 |
| 特別教育 | 危険・有害な業務に就かせるときに事業者が行う教育。記録の3年保存は義務だが、修了証の交付は法令上の義務ではない | 労働安全衛生法59条3項、労働安全衛生規則38条 |
| 現物確認 | コピーではなく、本人が持っている証明書そのものを見て確かめること。法令上の定義はない | 社内の基準 |
免許証の確認と一緒に押さえておきたいこと
免許証の確認は、人事の手続きとしてだけでなく、作業や運転の許可とつなげると意味が大きくなります。上位の記事であまり扱われていない点を3つ挙げます。
免許証の確認方法は、マイナ免許証なら本人のアプリで見る
マイナ免許証は、券面に有効期限も免許の種類も書かれていません。警察庁のマイナ免許証読み取りアプリで、本人が自分の暗証番号を入れて読み取ると、免許の情報が表示されます。会社が暗証番号を聞き取ったり、カードを預かったりする必要はありません。本人の端末で表示された画面を見て、氏名・種類・有効期間の末日・条件を記録すれば、従来の免許証と同じ5項目の確認ができます。
運転免許の確認は、安全運転管理者の業務とつなげる
安全運転管理者を選んでいる事業所(乗車定員11人以上の車1台、またはその他の車5台以上)では、運転者の適性、技能、知識や法令の遵守の状況を把握する措置が安全運転管理者の業務とされています(道路交通法施行規則9条の8・9条の10第1号)。また、車の使用者は、業務で無免許の運転をさせたり容認したりしてはならないと定められています(道路交通法75条1項1号)。運転免許証の有効期限を年1回確認して記録に残すことは、こうした管理の土台になります。
修了証は、作業中に本人が持っている状態にする
就業制限業務に就く人は、その業務をするときに免許証や修了証を携帯していなければならないと定められています(労働安全衛生法61条3項)。原本は本人が持ち、会社は確認した記録を持つという分け方にしておくと、作業中の携帯と会社の管理が両立します。資格の無い人を就業制限業務に就かせた場合は罰則の対象です(同法61条1項・119条1号)。
よくある質問
- Q. 資格のコピーを預かっていれば、現物の確認は不要ですか?
- コピーは撮った日の状態を写したものなので、更新されているかどうかは分かりません。また、コピーでは限定や条件の欄を見落としやすくなります。年1回でよいので、実際の紙を見て氏名、名称、有効期限、条件、交付元の5項目を確認してください。1件30秒で終わります。
- Q. 技能講習の修了証は、会社で保管すべきですか?
- 修了証は労働安全衛生規則第81条により、登録教習機関が本人に交付するもので、本人のものです。会社は現物を確認して記録を残す扱いにするのが基本になります。預かって保管する運用にしていると、退職時に返却の問題が発生します。
- Q. 修了証を紛失した場合、会社が再発行できますか?
- できません。労働安全衛生規則第82条により、再交付は本人が、交付を受けた登録教習機関へ申し込みます。氏名が変わったときの書替えも同様です。どこで受講したかを本人に確認してもらうところから始まるため、時間がかかります。早めに動いてください。
- Q. 現物の確認は、どのくらいの頻度で行えばよいですか?
- 年1回で足ります。保有資格の棚卸しと同じ日にまとめて行うと、1回で済みます。あわせて、入社時、資格を更新した後、配置換えのときにも確認してください。とくに更新後が抜けやすく、受講したという報告だけで期限を書き換えると取り違えが残ります。
- Q. 確認したときに期限が切れていたら、まず何をしますか?
- 手続きより先に、その資格が必要な作業から本人を外してください。気づいていながら作業を続けさせると、問題が大きくなります。そのうえで更新の日程を押さえ、いつから切れていたかを確認します。その間に作業していた場合、顧客への報告が必要になることもあります。
- Q. 教育記録の保存期間は、資格の確認記録にも当てはまりますか?
- 別のものとして考えてください。特別教育を行ったときの記録は、労働安全衛生規則第38条により受講者や科目等を3年間保存することが定められています。一方、資格の現物確認の記録に法定の保存期間があるわけではないため、社内の規程に合わせて期間を決めてください。雇入れ時等の教育や職長等の教育にも保存年数を定めた条文はないので、一律に3年と決めないようにしてください。
- Q. 本人が資格証を持ってきてくれません。
- いつ何を持ってくるかが伝わっていない可能性があります。対象になる資格の名称を事前に伝えてください。あわせて、確認の場で「あと2年で切れます」と本人にも期限を伝えると、管理する側だけが知っている状態でなくなり、更新も進みやすくなります。持ってこなかった場合は空欄にせず、確認できなかったことと次にいつ確認するかを記録に残してください。
- Q. マイナ免許証の人は、どうやって有効期限を確認すればよいですか?
- マイナ免許証の券面には免許に関する事項が書かれていないため、目で見ても有効期限は分かりません。警察庁のマイナ免許証読み取りアプリで、本人が一体化のときに設定した暗証番号を入れて読み取ると、有効期間の末日や免許の種類、条件が表示されます。本人の端末に表示された画面を一緒に見て、確認日と結果を記録してください。暗証番号を会社が聞き取る必要はありません。
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