教える記録

実習生の受け入れ|社外の方を現場に入れる前の確認

公開 2026-08-30 執筆 育成板 編集部

学校からインターンの依頼が来た。断る理由も無いので受けることにしたが、当日になって「この人にどこまでやらせてよいのか」と現場が困る。受け入れる前に決めていないと、その場の判断になります。

実習生の受け入れは、社員の教育とは前提が違います。作業の経験が無く、その場限りで、会社との関係も社員とは異なります。この記事では、実習生の受け入れを、事前に決めること、当日の教育、任せてよい範囲、記録の順に整理します。

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この記事の内容(8項目)

実習生の受け入れは、事前に4つ決める

当日に考えると、現場が判断を迫られます。受け入れが決まった時点で、次の4つを決めておきます。

決めること具体的に決めないとどうなるか
担当者その日、誰が付くか現場が押し付け合いになる
入ってよい場所立入禁止の区域を明示危険な場所に入る
やってよい作業見学のみか、体験までかその場の判断で任せてしまう
保護具と持ち物用意するもの、持ってきてもらうもの当日に足りず、待たせる

担当者を、必ず1人決める

「みんなで見る」は、誰も見ないことになります。その日、その人に付く担当を1人決めるのが基本です。担当が休む場合の代わりも決めておきます。

入ってよい場所を、図で示す

口頭で「あそこは危ないから」と言っても伝わりません。図に線を引いて、入ってよい範囲を見せるほうが確実です。1枚作れば次から使えます。

受け入れる目的を、双方で確認する

学校側が何を期待しているか、こちらが何を見せられるかがずれていることがあります。事前に目的と内容をすり合わせると、当日の進め方が決まります。

当日、最初に伝える3点

実習生に長い説明をしても、覚えられません。安全に関する3点だけを最初に伝えます。

会社の説明から入る

沿革、製品、組織図…

30分話しても、
危ない場所は伝わっていない。
本人も緊張したまま。

安全から入る

危ない場所、緊急時の連絡、
やってはいけないこと

5分で、最低限が伝わる。
会社の説明は後で足りる。

伝える3点を、決めておく

危険な場所と立入禁止、何かあったときに誰にどう連絡するか、絶対にやってはいけないこと。この3点は、応援者や見学者にも共通で使えます。

やってはいけないことを、具体的に言う

「勝手に触らない」では範囲が分かりません。「動いている機械には近づかない」「電源には触らない」と、行動で言います。

伝えたことに、サインをもらう

説明したかどうかが後で分からなくなります。伝えた項目に印を付けて、本人にサインをもらうと、記録として残ります。1分で終わります。

任せてよい範囲は、補助までにとどめる

実習生には、習熟の判定も単独作業の許可もありません。社員と同じ扱いにはできません。

やらせてよいか内容
見学のみ危険を伴う作業、資格が要る作業、動いている設備の周辺
補助まで担当者が横にいる状態での簡単な作業
単独原則として無し

資格が要る作業は、見学だけ

フォークリフトの運転など、資格が必要な作業は体験させることもできません。見学にとどめます。学校側から「操作させてほしい」と言われても、ここは変えられません。

「簡単だから」で任せない

社員には簡単な作業でも、初めての人には危険なことがあります。担当者が離れる作業は任せないと決めておくと、判断で迷いません。

体験させる作業は、事前に選んでおく

当日に「何かやらせよう」と探すと、適当な作業を選んでしまいます。安全で、成果が見えて、短時間で終わる作業を事前に1つか2つ選んでおきます。

単独作業の考え方は、社員と同じ

1人で任せてよいかどうかの判断は、資格、習熟、環境の3つがそろって初めて成り立ちます。実習生はこの3つを満たしません。考え方は単独作業の許可にまとめています。

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記録に残すのは、安全に関することが中心

実習生の記録は、育成のためではなく何かあったときに説明できるようにするためのものです。

残すことなぜ要るか
受け入れ日と時間いつ構内にいたか
氏名、所属(学校名など)誰が来たか
担当者誰が付いていたか
伝えた安全事項何を説明したか。サインつき
実施した内容見学か、補助か。何をしたか
特記事項ヒヤリとした場面があれば残す

1日1枚で足りる

数日の受け入れなら、日ごとに1行足す形で構いません。1人につき1枚にして、期間の全体が1枚で見えるようにします。

ヒヤリとした場面は、必ず書く

何も起きなかった日は書くことがありませんが、危なかった場面は、次の受け入れのときに効きます。立入禁止の範囲を広げる、といった改善につながります。

保管の期間を決めておく

実習生の記録に法定の保存期間があるわけではありませんが、社内の規程に合わせて期間を決めておくと、扱いに迷いません。個人情報として管理します。

応援者や見学者と、様式をそろえる

実習生、応援者、見学者は、いずれもその日限りで社外から現場に入る人です。伝えることはほぼ同じになります。

実習生応援者見学者
期間数日から数週間その日、その週数時間
伝える3点必要必要必要
作業補助まで補助まで無し
記録1人1枚1人1枚入構記録で足りる場合も

様式を1つにまとめてもよい

3つの様式を別に持つと、どれを使うか迷います。1つの様式に「実習・応援・見学」の区分欄を作るという持ち方もあります。

応援者の受け入れも、同じ考え方

他部署や協力会社から来る応援者も、その日は初めての現場です。伝える3点と、補助までという範囲は共通です。詳しくは応援者の受け入れ教育で扱います。

異動者とは、扱いを分ける

異動は継続的に所属が変わるので、教える範囲も任せる範囲も違います。異動者は判定を経て単独作業まで、実習生は補助までと分けます。

応援者 受入教育記録表(Excel・無料)他部署や協力会社から来た方へ、その日のうちに伝えることを記録します。登録不要でダウンロードできます。
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受け入れる側にも、得るものがある

実習生の受け入れを、負担としてだけ扱うと続きません。社内にとっての利点も見ておきます。

得られるものどう活かすか
教える経験若手に担当させると、指導の練習になる
説明の見直し初めての人に伝わらない説明が分かる
安全の点検外の目で見ると、危ない場所が見つかる
採用のつながり職場を知ってもらう機会になる

担当を、若手に任せる

実習生への説明は、教える側の練習としてちょうどよい規模です。期間が短く、責任も限定されています。ベテランが監修に回る形にします。

伝わらなかった説明を、記録に残す

実習生に伝わらなかった説明は、新人にも伝わりません。気づいた点を、教材を直す材料として残します。質問の記録と同じ扱いにできます。

外の目で、安全を見直す

毎日いると気づかない危険が、初めて来た人には見えます。「ここは危なくないですか」と聞かれた場所を記録すると、点検の材料になります。

受け入れで起きやすいことと、その避け方

準備が足りないときに起きることは、だいたい決まっています。

症状よくある原因避け方
当日、誰が見るか決まっていない担当を決めていない受け入れが決まった時点で決める
やることが無く、立たせたまま体験内容を選んでいない事前に作業を1つか2つ選ぶ
危険な場所に入ってしまった範囲を口頭で伝えた図で示して、サインをもらう
資格が要る作業をさせてしまったその場の判断で任せたやってよい作業を事前に決める
保護具が足りない持ち物を伝えていない事前に用意するものを決める

1枚のチェック表で、ほとんど防げる

上の症状は、事前に決める4項目と、当日伝える3点を並べた1枚があれば防げます。1回作れば、次からは印を付けるだけです。

断る判断も持つ

担当を出せない時期、危険な作業が続く時期には、受け入れないという判断も必要です。無理に受けて事故が起きるより、時期をずらしてもらうほうが双方のためになります。

終わったあと、5分で振り返る

担当者に「困ったことはありましたか」と聞いて、次の受け入れの手順に1つ足します。これを続けると、回を重ねるごとに楽になります。

よくある質問

Q. 実習生を受け入れる前に、何を決めておけばよいですか?
4つあります。その日付く担当者、入ってよい場所、やってよい作業、保護具と持ち物です。当日に考えると現場が判断を迫られます。とくに入ってよい場所は、口頭ではなく図に線を引いて見せるほうが確実で、1枚作れば次から使えます。
Q. 当日、最初に何を伝えればよいですか?
安全に関する3点に絞ってください。危険な場所と立入禁止、何かあったときに誰にどう連絡するか、絶対にやってはいけないことです。会社の沿革や製品の説明から入ると、30分話しても危ない場所が伝わっていない状態になります。
Q. 実習生に、どこまで作業をさせてよいですか?
補助までにとどめてください。実習生には習熟の判定も単独作業の許可もないため、社員と同じ扱いにはできません。資格が必要な作業は体験させることもできず、見学にとどめます。担当者が離れる作業は任せない、と決めておくと判断で迷いません。
Q. 学校から「機械を操作させてほしい」と言われました。
資格が必要な作業については、体験であっても操作させることはできません。ここは学校側の希望があっても変えられない部分です。事前のすり合わせの段階で、見学にとどまる作業と体験できる作業を明確に伝えておくと、当日に揉めません。
Q. 実習生の記録には、何を残せばよいですか?
受け入れ日と時間、氏名と所属、担当者、伝えた安全事項とサイン、実施した内容、特記事項です。育成のためではなく、何かあったときに説明できるようにするための記録です。ヒヤリとした場面があれば必ず書いてください。次の受け入れで立入範囲を見直す材料になります。
Q. 実習生と応援者で、様式は分けるべきですか?
どちらもその日限りで社外から現場に入る人なので、伝えることはほぼ同じになります。1つの様式に「実習・応援・見学」の区分欄を作る持ち方もあります。ただし異動者は継続的に所属が変わり、判定を経て単独作業まで任せるため、扱いを分けてください。
Q. 受け入れを断ってもよいのでしょうか?
担当を出せない時期や、危険な作業が続く時期には、受け入れないという判断も必要です。無理に受けて事故が起きるより、時期をずらしてもらうほうが双方のためになります。受け入れる場合は、終わったあとに担当者へ「困ったことはありましたか」と5分聞いて、次の手順に1つ足していくと、回を重ねるごとに楽になります。
Q. 実習生に何をさせればよいか、当日に困ってしまいます。
事前に体験させる作業を1つか2つ選んでおいてください。安全で、成果が見えて、短時間で終わる作業が向いています。当日に「何かやらせよう」と探すと、適当な作業を選んでしまい、危険な作業を任せることにもなりかねません。やることが無くて立たせたままにするのも、双方にとって良い時間になりません。
現場実習・インターン受入記録表(Excel・無料)学生や社外の方を受け入れるときの、条件と当日の記録を残します。登録不要でダウンロードできます。
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本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-08-30時点のものです。